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TWS-Emerging2015【part.3】

False color | Misa Sudo

Date:2015.07.04(Sat) - 2015.08.02(Sun)

TWS Shibuya

© Tokyo Wonder Site  photo : Ken Kato

 

TWS-Emerging 2015 第3期「フォールスカラー」展示作品について        須藤美沙 Misa Sudo

 

 私は宇宙に興味があり、NASAのハッブル等の宇宙望遠鏡が撮影した色鮮やかな写真を見るのが好きです。こんなカラフルで美しい世界が本当にあるのだと信じていましたが、実はそうではないということを数年前にはっきりと認識しました。この宇宙の写真の中には目に見える光だけでなく、目に見えないもの、赤外線や紫外線等の光が研究者の手によって着色され、あたかも事実のように映し出されています。私はこの過程に着目したことから『目に見えている世界だけが唯一の真実ではない』ということについて考えながら作品を制作しています。

 今回の展示のタイトルは「フォールスカラー(false color)」です。フォールスカラーとは、地球観測の分野における専門用語の1つで、植物の様子をより細かく把握するために都合の良い色を選んで着色された画像のことです。私がモチーフとして使用している宇宙の写真も、宇宙望遠鏡が光を種類別に撮影をした画像に研究者が着色をしています。例えば、赤外線の画像には赤い色をつけています。観測結果を実際の見た目よりも分かりやすく教えてくれます。人工的につくられた色ではあるけれど、私たちに目に見えないものの存在を確かに意識させ、別のものの見方を示してくれます。鑑賞者の方々には今回の展示を通して、目に見えないものについて考えたり、ものの見え方のズレを感じたりして楽しんでもらえたらいいなと思います。

 

 

1. Hubble Telescope  2014  鉛筆、パネル  91×116.7cm

 NASAのハッブル宇宙望遠鏡を木製パネルに鉛筆で描いた作品。この宇宙望遠鏡は可視光線や赤外線等を観測することができ、いまも遥か遠い宇宙に浮かんでいる。大気に邪魔されることなく遥か彼方の星の光を撮影することができる。作品を黒塗りした壁に掛けて、ハッブルが広い宇宙空間にポカンと浮かぶ印象に仕上げた。ハッブルの背景は鉛筆でぐいぐいと潜るように描いた。他の作品もそうだが、色鮮やかな写真をもとにモノクロームで表わしている。カラー写真の色には写っているものが真実であると思い込ませてしまう力があると思い、色彩情報を無くすことによって一般に刷り込まれたイメージとは異なる印象に仕上げている。

 

2. 30 Doradus  2014  紙  109×140cm

 NASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した写真をもとに、紙にプッシュピンで穴をあけて描いた作品。ハッブルが撮影したばかりの映像は傷だらけで、宇宙望遠鏡研究所の研究者の手によって美しく加工された画像がインターネット上で公開されている。タイトルの「30 Doradus」とは旗魚座のことで、私たちの住んでいる天の川銀河の近くにある(といってもかなり遠い)16万光年離れた大マゼラン星雲の中にある。*光年=光が1年間に進む距離をあらわす単位。紙に穴をあけてその裏から光を通すと、表には無数の星や星雲が輝き画像が見える。作品の表側だけでなく裏側の見えない面について意識させる。穴をあけることで、見えるものだけでなく見えないものについても考えることのできる作品にしたいと思っている。

 

3.Milky Way Galaxy  2014 ケント紙  78.8×109.1cm /4.Milky Way Galaxy  2014 ケント紙  78.8×109.1cm

 私たちの住む天の川銀河を白と黒のケント紙にプッシュピンで穴をあけて描いた作品。私たちは天の川銀河を内側から見ていて、その一部分を見ることが出来ても、天の川の全体像を見ることはできない。作品のモチーフにした図像はイラストレーションで理論上のものである。ハッブル宇宙望遠鏡が実際に観測した画像をもとにしてつくった作品と、理論上の図像をもとにしてつくった作品を同じ空間に展示したらどのように見えるのかを知りたいと思った。